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  • 美濃の巨樹たちを見ながら白山信仰に思いを馳せる旅

    岐阜県

    3時間30分程度

     白山は、石川、福井、岐阜、富山の4県にまたがる標高2,702mの火山で、日本最西端の2,000m峰でもあります。面積49,900haにも及ぶ白山国立公園は、豊かな生態系や生物多様性を保全し、持続可能な発展を目指す地域のモデルとして、1980年にユネスコエコパークに登録されました。
     白山は、富士山、立山とともに日本三大霊山の一つに数えられ、麓より白山へと登る道は「禅定道(ぜんじょうどう)」と呼ばれ、古来より修行者の登山路として整備されていました。白山への登る「越前(福井)」、「加賀(石川)」、「美濃(岐阜)」の3つの禅定道のうち、岐阜県側の「美濃禅定道(みのぜんじょうどう)」を辿り、美濃禅定道から白山を目指す人々を見守ってきた巨樹に会いに行くコースを紹介します。
     移動距離が長く、公共交通機関で巡るには不便なため、車での訪問をおすすめします。

    【アクセス】
    ・車:東海北陸自動車道「白鳥西IC」から約15分または「高鷲IC」から約20分
    ・鉄道:長良川鉄道「白山長滝駅」ほか

  • 長滝白山神社の大スギ

    ・幹周り773cm/560cm
    ・樹 高33m/36m
    ・樹 齢推定600年/不明
    ・保護指定県指定天然記念物/なし
    ・所在地岐阜県郡上市白鳥町長滝138
    ・交通長良川鉄道「白山長滝駅」から徒歩5分
    東海北陸道「白鳥IC」から国道156号線を
    北に車で約8km ※駐車場あり

    スポット1

    長滝白山神社の大スギ

    岐阜県郡上市

    美濃禅定道の起点

     長滝白山神社は、白山に登る際に馬をつなぎとめた「美濃馬場(みのばんば)」として、美濃禅定道の起点となっていました。拝殿に向かって進むと、拝殿の東側道路に面して大スギがいわゆる夫婦杉のように道を挟み2本並んで立っています。このうち幹周りが大きい方は、大きくうねった巨大な根が、幹周り以上の迫力をこのスギにもたらしています。

  • 前谷床並社跡のトチノキ

    ・幹周り600cm
    ・樹 高28m
    ・樹 齢不明
    ・保護指定県指定天然記念物
    ・所在地岐阜県郡上市白鳥町前谷字正ヶ洞
    ・交通東海北陸道「白鳥IC」から車で約20分 
    ※トチノキの案内柱付近に駐車スペースあり

    スポット2

    前谷床並社跡のトチノキ

    岐阜県郡上市

    人知れず古道に立つトチノキ

     国道156号を北上、県道314号に入りしばらく山を登ります。桧橋の手前左側にある「旧道 白山信仰登拝歴史街道」の標柱から林道に入り山を登っていくと、白山山頂までの禅定道の解説版と、トチノキの案内柱が現れます。ここで車を降りて禅定道を100mほど歩くと細い急流の対岸にトチノキが現れます。その昔、白山信仰全盛の時代には多くの人が行き交ったこの場所には前谷床並社(まえだにとこなめしゃ)という社があったと伝えられますが、今では、往事を偲ばせるものは禅定道のみです。

  • 白山中居神社のスギ群

    ・幹周り1,504cm(主幹824cm)
    ・樹 高52m
    ・樹 齢不明
    ・保護指定「白山中居神社の森」として県指定天然記念物
    ・所在地岐阜県郡上市白鳥町石徹白3-48
    ・交通東海北陸道「白鳥IC」より車で約40分
    ※駐車場あり

    スポット3

    白山中居神社のスギ群

    岐阜県郡上市

    境内に立ち並ぶスギの巨樹

     白山国立公園内にある白山中居神社は、長滝白山神社と並ぶ美濃禅定道の拠点であり、石徹白(いとしろ)集落はこの神社を中心とした信仰の村でした。「岐阜県文化財図録」の記述によれば、白山中居神社の約2haの境内には約140本のスギが林立するとされています。参道入り口に並ぶスギは、どれも幹周り5~6mほどの太さを持ち、並木となって拝殿までの参道を守っているかのようです。拝殿の背後にあるスギが最も巨大で、幹周り8.24m、樹高52mの見事な巨樹です。境内で計測したスギには樹高55mを超えるものも複数あり、なかにはスギの樹高の限界に近い58mを計測したものもあります。

  • 石徹白の浄安スギ

    ・幹周り1,270cm
    ・樹 高33m
    ・樹 齢不明
    ・保護指定県指定天然記念物
    ・所在地岐阜県郡上市白鳥町石徹白3-48
    ・交通白山中居神社拝殿の西側より登山約15分
    ※駐車場あり(白山中居神社)

    スポット4

    石徹白の浄安スギ

    岐阜県郡上市

    根本に袋いっぱいのお金が?

     白山中居神社拝殿の西側に、「浄安(じょうあん)スギ」へと続く登山道があります。拝殿脇の気持ちの良いブナ林を抜けると本格的な山道となり、15分ほど登ると「浄安スギ」の巨大な姿が尾根上に見えてきます。幹周6mほどのスギ4本が合体したものと考えられている、全周が12.7mもの巨樹です。
     「浄安スギ」の名前は、かつて白山中居神社別当寺のなかにあった円周寺の住職の浄安さんが、白山山頂を目指す信者に宿を貸し、信者が置いていくお金で袋がいっぱいになったので杉の根元に埋めたことに由来するといわれています。

  • 石徹白のスギ

    ・幹周り1,375cm
    ・樹 高28m
    ・樹 齢伝承1,800年
    ・保護指定国指定特別天然記念物、国立公園特別保護地区
    ・所在地岐阜県郡上市白鳥町石徹白
    ・交通東海北陸道「白鳥IC」より車で約60分
    ※駐車場、公衆トイレあり

    スポット5

    石徹白のスギ

    岐阜県郡上市

    白山の開祖泰澄大師の杖

     白山中居神社よりさらに車で山道を進みます。しばらく進むと車が十数台止まれる駐車場が見えてきます。駐車場脇に、「白山登山道入口」の看板があり、10分ほど登山道を登ると、日本有数のスギの巨樹「石徹白(いとしろ)のスギ」が見えてきます。白山を開いた泰澄(たいちょう)大師が白山に登った際に、持っていた杉の杖を地に突き刺したところ、生長して「石徹白のスギ」になったといわれています。
     樹皮が剥げ落ちて地衣類がつき、神々しいほど白く見えるその姿は、すばらしい風格を備えています。12人ほどが手をつないでやっと取り囲むことができるほどの幹周りをもつことから、「十二抱えの杉」とも呼ばれています。




  • 蔦温泉と蔦の七沼

      ハクサンコザクラ

    コース周辺の見どころ

    白山周辺

    白山の自然

     標高1,600m以下の山麓にはブナを中心とした自然林が広がり、高山・亜高山帯にはハクサンコザクラなど250種もの高山植物が見られる白山。原生的な自然環境が保たれていることから、我が国有数の自然性の高い国立公園としてユネスコ「人間と生物圏(MAB)計画」に基づく生物圏保存地域(ユネスコエコパーク)に指定されています。
     また、白山周辺の地層は、今から1億7000万年前の中世代ジュラ紀後期から1億1000万年前の白亜紀前期までの間に堆積したもので、手取層群(てとりそうぐん)と呼ばれるこの地層からは、恐竜を始め、哺乳類や魚類、植物など数多くの化石が発見されています。

    写真出典:環境省ホームページ
    http://www.env.go.jp/park/hakusan/photo/
    cat/p061.html