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  • 十和田八幡平国立公園 蔦温泉でブナの森の湖沼群と巨樹をめぐる旅

    青森県

    3時間程度

     蔦(つた)温泉は、周囲を「蔦の七沼」と呼ばれる湖沼が点在する豊かなブナの森に囲まれており、よく整備された全長約3kmにおよぶ遊歩道を、湖沼群と数々の巨樹を見ながら散策することができます。「十和田樹海」とも呼ばれるブナの森に生きる、自然のままの巨樹の姿を見に行ってみませんか。「蔦野鳥の森休憩所」前の駐車場に車を停め、気持ちよい散策にでかけましょう。なお、遊歩道にはトイレがないのでご注意ください。

    【アクセス】
    ・車:東北自動車道「十和田IC」から約1時間30分
    ・鉄道及びバス:
     東北新幹線八戸駅からJRバス東北「おいらせ号」で約1時間30分、「焼山」下車→JRバス東北「みずうみ号」で約20分、「蔦温泉」下車
     JR「青森駅」または青い森鉄道「青森駅」からJRバス東北「みずうみ号」で約1時間30分

  • 墓守のミズナラ

    ・幹周り518cm
    ・樹 高23m
    ・樹 齢約400年
    ・保護指定国立公園特別地域
    ・所在地蔦温泉の駐車場の東側の石段を
    上り徒歩約5分

    スポット1

    墓守のミズナラ

    蔦温泉

    蔦温泉を愛した詩人大町桂月の墓を守る巨樹

     詩人、大町桂月(おおまち けいげつ)は蔦温泉をこよなく愛し、晩年まで蔦温泉で暮らし、地元の人々との交流を深めたといわれています。
     蔦温泉と国道103号線を挟んで東側の森の中に、桂月の墓所があり、墓の後ろには、まるで墓を守っているかのような格好でミズナラの巨樹が立っています。梢の先端は雷にでも打たれたのか主幹を失った状態で大きく2本の大枝に別れています。根元には空洞が開いていますが、その影響はほとんど感じられない元気な姿を見せてくれています。

  • 瓢箪沼のトチノキ

    ・幹周り592cm
    ・樹 高22m
    ・樹 齢約300年
    ・保護指定国立公園特別地域
    ・所在地瓢箪沼の北側、
    沼めぐりの小路沿い

    スポット2

    瓢箪沼のトチノキ

    蔦温泉

    沼めぐりの小路で最初に出会う巨樹

     蔦温泉から遊歩道に入ると2分ほどで、最初の湖沼である瓢箪沼(ひょうたんぬま)に到着します。この沼は以前、ひょうたんの形をしていましたが、枯れた植物や流れ込んだ土砂により、少しずつ水深が浅くなり、形もひょうたん形ではなくなっています。湿地から陸地に変化していく過程を見ることのできる貴重な沼で、梅雨時にはモリアオガエルの繁殖地となっています。
     瓢箪沼の湖畔には、東北地方では有数の大きなトチノキがそびえています。トチノキは水を好む木で、山林の谷沿いによく見られる樹種です。近年では、水位の低下により湖面からトチノキまではいくらか距離ができてしまいました。幹の途中には大きな樹洞の開口部はありますが、衰えは見られず、のびのびと枝葉を広げています。

  • 菅沼のミズナラ

    ・幹周り653cm
    ・樹 高22m
    ・樹 齢約400年(推定)
    ・保護指定国立公園特別地域
    ・所在地菅沼の北側、
    沼めぐりの小路沿い

    スポット3

    菅沼のミズナラ

    蔦温泉

    菅沼の湖畔に立つ堂々とした巨樹

     遊歩道のもっとも南側に位置するのが菅沼(すげぬま)です。菅沼は木材を川に流すための集積場として利用された人工の沼ですが、今ではすっかり周囲の森に溶け込んでおり、早春には水芭蕉の群落で注目を集める場所でもあります。
     菅沼へと続く緩傾斜地のササ藪の中に凜とそびえている、図抜けて太い幹の木が菅沼のミズナラです。2本のミズナラが合体したと思われる樹形で、まったく手つかずの状態で生育しており、周囲に競争する木々が存在しなかったことから大きく生長したものと思われます。

  • 蔦のハリギリ

    ・幹周り486cm
    ・樹 高30m
    ・樹 齢約400年(推定)
    ・保護指定国立公園特別地域
    ・所在地菅沼から長沼に向かい、長沼を過ぎて
    約100m先の沼めぐりの小路沿い

    スポット4

    蔦のハリギリ

    蔦温泉

    全国でも珍しいハリギリの巨樹

     長沼から月沼へ向かう遊歩道の途中、下り坂に差し掛かるあたりで、樹皮に斜めの筋が入った黒くて巨大な幹が目に飛び込んできます。周囲の樹木とは樹皮が違うのでよく目立つこの木は、全国でも珍しいハリギリの巨樹で、幹周は5m近く、樹高は見上げても先端部が見えないほどで、2本に分かれた幹は森の中で存在感を放っています。

  • 蔦の大グリ

    ・幹周り457cm
    ・樹 高16m
    ・樹 齢約400年(推定)
    ・保護指定国立公園特別地域
    ・所在地蔦沼へ向かう沼めぐりの小路の
    入り口付近(蔦温泉付近)

    スポット5

    蔦の大グリ

    蔦温泉

    蔦の絡む立ち姿が美しいクリの巨樹

     沼めぐりの小路を一周し、「蔦野鳥の森休憩所」の建物も見えてきてほっとする頃、温泉へと下りる木道脇に大きなクリが現れます。全国にあったクリの巨木のほとんどは、鉄道の枕木に利用するため伐採されてきました。この木は、今も残るクリとしては、有数の大きさを誇る1本といえるでしょう。湾曲した幹にびっしりとツタが絡まり地衣類が生えた、いかにも古木然とした姿は、風雪に耐えて生きてきた歴史を物語っています。

  • 蔦温泉と蔦の七沼
    写真出典:環境省ホームページ(http://www.env.go.jp/park/towada/photo/a01/b01/c01/a01_b01_c01_p017.html)

    コース周辺の見どころ

    蔦温泉

    蔦温泉と蔦の七沼

     蔦(つた)温泉は、十和田市の中心部より西へ約20km、18の火山からなる八甲田山系の赤倉岳の麓に広がるブナの天然林の中にあります。日本百名湯にも選ばれたナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩-塩化物泉の温泉で、平安時代の久安3(1147)年から記録がある、歴史ある温泉地です。唯一の温泉宿、蔦温泉旅館では、大正時代に建てられた趣のある本館や、湯船の底板の間からわき出す温泉を楽しむことができます。
     となりの「蔦野鳥の森休憩所」では、蔦沼・鏡沼・月沼・長沼・菅沼・瓢箪沼・赤沼からなる「蔦の七沼」(赤沼のみ蔦温泉から離れた場所にあります。)を巡る遊歩道「沼めぐりの小路」沿いでみられる生きものや周辺の地史を知ることができます。

    写真出典:環境省ホームページ※URLにリンクあり
    http://www.env.go.jp/park/towada/photo
    /a01/b01/c01/a01_b01_c01_p017.html