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たくさんの巨樹に会える都会のオアシス
東京都 新宿御苑
1時間30分程度
広々とした芝生と大きなユリノキの後ろに見えるのは、大都会・新宿の高層ビル。都心に広がるオアシス・新宿御苑には、日本で初めて植えられたと言われているプラタナスをはじめとする、約300本の巨樹があります。新宿御苑は、もとは徳川家康の家臣、信州高遠藩主内藤氏の屋敷の一部。明治5(1872)年に農作物や園芸植物の栽培試験場「内藤新宿試験場」が創設され、海外の樹木や野菜、果樹、花卉などの栽培研究や技術者の育成が行われました。
その後、皇室庭園となり、昭和24(1949)年から「国民公園新宿御苑」として一般に公開されています。
武家屋敷だった江戸時代に植えられ今に残るハクモクレンや、栽培試験場だった明治時代に日本に初めて導入されてから大切に育てられてきたユリノキなど、この土地ではめずらしかった木々が、今では巨樹となり、その姿を楽しませてくれています。
新宿の歴史とともに生きてきた巨樹にまつわるストーリーと生命力を感じてみませんか。【アクセス】JR・京王・小田急線「新宿駅」より徒歩10分/西武新宿線「西武新宿駅」より徒歩15分/東京メトロ丸の内線「新宿御苑前駅」・東京メトロ副都心線「新宿三丁目駅」・都営新宿線「新宿三丁目駅」より徒歩5分
【入園料】一般 500円(30人以上団体割400円)/65歳以上・学生(高校生以上) 250円/小人(中学生以下) 無料
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スポット1
モミジバスズカケノキ
新宿御苑
大人5人でやっと囲める太さ
幹周り6メートルを超えるこの巨樹の雄大な樹形は見ごたえアリ。プラタナスの仲間で、明治20~30年代に日本で初めて新宿御苑に植えられました。モミジバスズカケノキは、アメリカスズカケノキやスズカケノキとともに「プラタナス」と総称され、全国の並木でもよく見られます。明治40(1907)年には街路樹育成用として園内のモミジバスズカケノキの苗木が東京市に払い下げられ、全国各地へと広まりました。
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スポット2
ラクウショウ
新宿御苑
上にも根っこが伸びる湿地の巨樹
新宿門から母と子の森へ向かう外周園路を進むと、湿地に生える巨樹の森に入ります。ここに、明治初期に海外から種子を持ち込んで育てられたと言われているラクウショウの巨木林があります。木道脇の地面からにょきにょきと生えているのは「気根(きこん)」と呼ばれる根っこ。原産地の北米では湿地や沼地に生えており、地上や水面にこの気根を伸ばして呼吸しています。
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スポット3
ハクモクレン
新宿御苑
江戸時代から残る名木
日本庭園のお茶室・楽羽亭前には、江戸時代に植えられたと伝えられるハクモクレンの名木があります。新宿御苑の中でも最も古い木のひとつで、毎年3月下旬頃になると、白い花をまとった美しい姿を見せてくれます。近くのお茶室・楽羽亭では季節の和菓子つきの抹茶を一服することができ、こちらも、とくに外国からの観光客の方々に人気があります。
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スポット4
ユリノキ
新宿御苑
新宿御苑のシンボル・ツリー
ユリノキは栽培試験場だった明治初期に、新宿御苑に日本ではじめて植えられました。明治40(1907)年に街路樹として園内のユリノキの種が提供され、全国各地に広まりました。なかでも都内にあるユリノキの多くは、新宿御苑のユリノキの子孫。チューリップのような黄緑色の花が5月の連休頃に木いっぱいに咲きます。
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スポット5
ハルニレ
新宿御苑
関東ではめずらしい北国の木
風景式庭園の広い芝生には巨樹が点在していますが、旧洋館御休所前に広がる芝生の中に、ひときわ目を引くハルニレの巨樹があります。ハルニレは北海道を中心とした北日本の山地に多く見られますが、関東地方では非常にめずらしい木です。3月中旬頃、一見すると花には見えない、小さな花を咲かせます。ハルニレ近くの旧洋館御休所は、明治29(1896)年に皇室の方々が温室で植物を観賞する際の休憩所として創建されました。建物の外からも建設当初のままのレトロな趣のある手吹きガラスを見ることができます。
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コース周辺の見どころ
新宿御苑
日本初の大温室
新宿御苑の前身である内務省内藤新宿試験場の時代、明治8(1875)年に建てられた100平方メートルのガラス張りの大温室では、洋ランをはじめ、熱帯・亜熱帯の植物が栽培され、大正から昭和の初めにかけては新宿御苑の名前を冠した洋ランを多数作りだしてきました。
平成24(2012)年に全面的な建て替えが行われ、熱帯の植物を中心に約2,700種の植物が育てられており、一年を通して美しい花を楽しむことができます。また、絶滅危惧種の保護・育成、種子の保存にも力を入れています。