志筑(しづき)の大楠たち【兵庫県・淡路島】
2023.6.22
兵庫県立大学大学院 緑環境景観マネジメント研究科の研究テーマを「地域に根ざす巨樹との対話」とし、2021年の春から冬にかけて、淡路島と沼島の37ヵ所で、巨樹41本を調査しました。
淡路市志筑神社の白髭宮司にお話を聞き、静御前は源義経の死後、尼となって志筑で隠棲して、志筑神社をよく訪れていたと知りました。静御前とのご縁から、当時、芽生えたクスノキを「志筑天神 静之大楠」と命名されました。
2021年10月2日の例祭の宵宮。夜の神社の気配は澄んでいて、暗がりの中で、歴史を見守ってきた大楠の存在感が際立って見えました。淡路島の夜は暗く、『古事記』に日本で最初に淡路島を誕生させたとありますが、そんな大昔の闇を想像させられます。
翌日の例祭は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、だんじりの宮入りも、地元の学生による吹奏楽や和太鼓の演奏も自粛されて、一騎のお神輿だけで執り行われましたが、「疫病退散」祈願をこめた神事に、毎年続けることの大切さを感じました。
地元の方たちが大楠のもとに集まり、木陰で休憩している様子から、ともに暮らし、大楠も地域を守っていることが窺えます。
志筑神社参道沿いにある志筑別神社(例祭のお旅所)のクスノキは、本地仏の薬師如来にちなみ「薬師之大楠」と命名されました。町の真ん中で威容を誇っています。
ヒトの暮らしに寄り添うように、この2本の大楠は立っています。
調査で撮影した巨樹の写真と動画で、約10分のショートムービーを制作しました。YouTubeで公開していますので、ぜひご覧ください。
(https://kyojyunomori.jimdofree.com/)
幹周り | 「静之大楠」680cm 「薬師之大楠」610cm |
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樹高 | 「静之大楠」17m 「薬師之大楠」23m |
樹齢 | ともに約800年(2016年の専門家の調査記録より) |
所在地 | 兵庫県淡路市志筑907(静之大楠)、882(薬師之大楠) |
交通 | 【車】神戸淡路鳴門道・津名一宮ICから県道66号経由2.5km (志筑神社の境内駐車可) |
著者 | 森 彰子(奈良県在住、全国巨樹・巨木林の会会員) |