菅山寺(かんざんじ)のケヤキ【滋賀県】
2022.11.29
2020年夏、滋賀に赴任し週末を持て余していた私は、巨樹・巨木林DBを見つけ、住まいの近くにも巨木があることを知りました。植物好きな私は、巨木の根の盛り上がり、幹表面の凹凸やねじれ・穴・こぶ、大枝の張り出し、そして巨体、吸い込まれるように心が奪われます。DBに調査結果を登録できることも分かり、時間があれば自転車や自動車で社寺などを回って、登録済、未登録の巨木を見つけては写真を撮り、巻き尺で幹周囲を測定し、コメントを書きました。自分の写真やコメントが登録されると嬉しいものです。
![無住となった古刹には巨樹が残っていることがある 無住となった古刹には巨樹が残っていることがある](/images/column/055/01.webp)
2022年に登山クラブに入り活動が広がりました。滋賀の山中には無住となった古刹や古址があり、そこに巨木が残っていることがあります。その一つである湖北余呉の菅山寺のケヤキをご紹介します。
![2017年に写真右側のケヤキは2017年に倒壊したが、左側は樹勢がよい 2017年に写真右側のケヤキは2017年に倒壊したが、左側は樹勢がよい](/images/column/055/02.webp)
山の上の森の中の無住となった菅山寺。本堂、護摩堂、経堂、宝蔵庫、庫裡など建物が広く森の中に点在し、入口には小さな山門があります。その山門の手前両側に余呉出身の菅原道真お手植えとされる大きな欅が構え、幽玄な寺の雰囲気を作ります。残念ですが片側の欅は2017年に倒壊し株元のみが残っていますが、もう片側は樹勢よく大きな樹形となって枝を広げています。
欅は巨木になると太い主幹からすーっと細くなる樹形になるものがあります。この太短さが魅力。うろこ状に樹皮が剥がれ落ちたすべすべの表面、白くて太い巨体は、森の主のよう。凹凸のある株元は一段と太くなり、石段に食い込み参道を狭くしている根もいい。訪れたのは新緑が鮮やかな時節でした。
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幹周り | 750cm |
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樹高 | 23m |
樹齢 | 約1000年 |
保護指定 | 滋賀県指定天然記念物 |
所在地 | 滋賀県長浜市余呉町坂口 菅山寺 |
交通 | JR「木之本駅」から余呉バス「坂口」下車、尾根まで1時間登り、さらに15分下る。 尾根の上に駐車場があり、そこから徒歩20分でも行ける |
著者 | 久田義明(巨樹・巨木林DB登録愛好家、さわやかプランツ) |