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軍刀利(ぐんだり)神社のカツラ【山梨県】

2022.3.29

 御神木のカツラの立つ軍刀利神社の奥の院、軍神として信仰を集めたこの神社の御祭神は日本武尊ですが、明治時代の神仏分離令前までは、修験道の大正院が別当(管理)を務めた「軍茶利夜叉明王社」でした。ヒンドゥー教の女神クンダリーが仏教に取り入れられ、中国、日本と伝わるうちに、男神の軍茶利明王なったという説があります。
 軍茶利夜叉明王社は、文禄年間(1593~1596)火難のため三国山(生藤山)の山頂から現在地に遷座したと伝えられています。奥の院は修験の靈氣を感じるような場です。遷座した400年以上前、カツラは巨樹ではなかったでしょうが、きっと存在感に満ち溢れたカツラで、御神木の立つ神聖な場として、カツラの背後に奥の院を祀ったのではと想像します。修験者たちが行き交っていた時代に思いを馳せます。

軍刀利神社のカツラ 正面

軍刀利神社のカツラ 正面



 カツラは水のあるところに育ちますが、この大カツラも根本付近から冷たい清水が湧き出ているので、「水の木」とも呼ばれています。2005年に初めて訪れた時は、立ち込める霧と小雨の中に浮かぶカツラと奥の院がとても幻想的でした。その時は、正面からしか写真を撮らなかったのですが、2021年の再訪は、時折降る霧雨程度だったので、撮りがいのある姿に惚れ惚れしながら、斜めからも背後からも写真を撮りました。

軍刀利神社のカツラ 背面

軍刀利神社のカツラ 背面



 アクセスは、バス停「井戸」から軍刀利神社拝殿まで約1.2km、カツラのある奥の院は更に約600m奥です。拝殿への石段の左方向に駐車場がありますので車も可です。駐車場から拝殿に寄らず奥の院に行く道もありますが、拝殿への長い石段は、スギ巨木もあり趣があります。拝殿に立ち寄られても拝殿の裏手から奥の院に行くことができます。

軍刀利神社のカツラ

幹周り 900cm
樹高 33m ※山梨県指定天然記念物(1961年12月7日指定)時測定数値
なお環境省巨樹巨木林DBでは31mと報告されている
樹齢 500年
保護指定 山梨県指定天然記念物
所在地 山梨県上野原市棡原4135-4 軍刀利神社奥宮の社殿前
交通 JR中央線「上野原駅」から「井戸」行きバスで終点下車約1.8km
著者 中島さえ子(さいたま巨樹の会 代表)