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綾のイチイガシ【宮崎県】

2020.6.1

 宮崎県の中央部に位置する綾町には、イチイガシやタブノキを構成種とした日本最大級の照葉樹林が残されており、九州中央山地国定公園やユネスコエコパークの指定など、自然を守りながら人が暮らしてきた長い歴史があります。

綾のイチイガシ

綾のイチイガシ



 約680年前、足利尊氏の家臣であった細川氏がこの地に下向して居館(城)を移し、綾氏と称したことから綾の中世が始まったといわれています。その初代綾城主が居館の一角に植えた木が、このイチイガシと伝えられ、根元には梵字(ぼんじ)が刻まれた石塔が祀られています。イチイガシとしては宮崎県初の県指定天然記念物となり、県内最大級の幹周りを誇っています。幹は空洞化していますが、大きな枝張りは未だ健在で、長い年月を生き抜いてきた力強さと存在感があります。

綾城

綾城



 綾城の周辺には、かつての空堀の址も残っておりますが、天然の堀として活用された渓谷に広がる森林の一角にこのイチイガシがあります。この周辺は野首谷(のくびだに)と呼ばれ、現在では馬事公苑や綾神社に続く遊歩道が整備されており、地元の子どもたちが自然を学ぶ環境学習の場としても活用されています。
 700年近くにわたり綾町の歴史的な変遷を見つめてきたこの巨樹、ユネスコエコパークに登録された今も変わらずにひっそりと綾町の人々を見守っているのです。

綾のイチイガシの地図

幹周り 約670cm
樹高 約20m
樹齢 約680年
保護指定 宮崎県指定天然記念物
所在地 宮崎県東諸県郡綾町大字北俣字野首鳥沢家樹林
交通 宮崎交通バス「綾待合所」下車、徒歩20分程度。綾城から馬事公苑へ向かう道路沿いに「みやざきの巨樹百選」の看板があり、その向かい側にある細い道の奥にイチイガシがあります
著者 河野円樹(綾町役場 ユネスコエコパーク推進室)