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古屋の「千年トチノキ」

2018.5.1

古屋の「千年トチノキ」の写真

 綾部市内から30km、隣の集落から6km離れた山深いところに古屋集落があります。3軒4人が住む、京都府で最も小さい集落です。  

 そこはトチノキの群生地で、幹回り865cm、推定樹齢1,000年の巨樹「千年トチノキ」をはじめ現在786本が確認されています。集落周辺の13の谷に1,500本はトチノキがあると思われる古屋地区は、京都丹波高原国定公園にも指定されました。  

 2006年に制定された、「綾部市水源の里条例」をきっかけとして、平均年齢91歳のおばあちゃんたちが、トチの実を利用した村おこしを始めました。「奈良・平安の頃から続いたこの古屋を、自分たちの代で廃村にしたくない。後に続くものの礎になりたい」。そんな強い思いからです。「とち餅」「とち大福」のほか新商品の「とちの実おかき」「とちの実あられ」を開発。最近では「とちの実クッキー」を製造販売しています。

とち餅を作る元気なおばあちゃんたちの写真

 古屋を支えているのが、ボランティアの自主応援組織「古屋でがんばろう会」の人たちです。高齢で頑張っているおばあちゃんたちを見て、「ほっとけないから」と、トチの木周辺の鹿除けネット張り、とちの実拾い、除伐などの環境整備、冬の除雪作業と毎月数回古屋に足を運んでくれています。年に30人ほどだった訪問者も、今では3,000人ほどに増え、おばあちゃんたちは「今が一番幸せです。ちょっと忙しすぎますが」と笑顔が絶えません。  

 古屋には、飢饉のとき栃神さまから渋いトチの実の食べ方を教えられ、救われた村人がとち餅を伝えたという「栃神伝説」があります。  

 栃神さまが住むというトチノキの巨木林があるのはこんこんと水が湧き出す水源地であり、そこに佇むと本当にこころが癒されます。珍しい草花や野鳥を愛で、元気なおばちゃんたちが作る「とち餅ぜんざい」を食べて古屋の季節を楽しんでみませんか。お待ちしています。

古屋のトチノキの地図

幹周り865cm
樹高35m程度
樹齢1,000年以上(推定)
所在地京都府綾部市睦寄町古屋白石原
交通起点となる古屋公民館までは、舞鶴道綾部インターチェンジから約30km程度、公民館から「千年トチノキ」までは徒歩30分ほど。*入山の際には綾部市役所上林いきいきセンターに要相談。
著者渡邉和重(古屋自治会長 水源の里・古屋代表)