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志々島の大楠

2017.6

志々島の大楠の写真1

 全国の巨樹・巨木巡りを楽しんでいるみなさんのなかには、単に巨樹・巨木を見ることだけを目的とするのではなく、巨樹・巨木のもとへ旅する過程も大事にしていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。いつもとは違った土地へ行ってみたいときには、瀬戸内海の人口わずか17人の小さな島、志々島(ししじま)の大楠を見に行ってみてはいかがでしょう。巨木と島旅の両方が楽しめます。志々島に行くには、JR予讃線の詫間駅からバスで宮ノ下港へ。そこから高速船で20分です。志々島の港から大楠までは、集落の中を抜けて、上り坂をゆっくりと歩いても約20分。大楠までの道は簡易ではありますが、舗装されていて、道案内板もあり、迷うことはないでしょう。

志々島の大楠の写真2

 途中、きつい傾斜のため、すべりやすい路面もありますから、歩きやすい靴と服装でいらしてください。大楠との出会いはいきなりです。大楠に向かって歩いていくと、最後のカーブを曲がって、視界が開けたとたんに、巨木が目前に現れます。初めて見たときは、ちょっと衝撃的かもしれません。クスノキというと、天に向かってまっすぐに伸びる幹とこんもりとした樹形を思い浮かべます。ところが、志々島の大楠の特長は、1400cmもの太さと、地上すぐの高さから、両手を横に大きく広げたように左右に伸びた、幹のように太い枝を擁する特異な樹形にあります。見方によっては、何本もの幹が横倒しになっているようにも、大蛇がうねっているようにも見えます。枝という概念を覆してくれます。樹齢は約1200年と言われています。大楠を抜けて少し歩くと、楠の倉展望台に出ます。ここからは大楠を見下ろすことができます。大楠の周囲には、穏やかな瀬戸内の海と多島美が広がっています。ぜひおいでください。

志々島の大楠の地図

幹周り1400cm
樹高40m
樹齢約1,200年
保護指定香川県指定天然記念物
所在地香川県三豊市詫間町志々島
交通JR予讃線「詫間」駅からバスで宮ノ下港へ。そこから高速船で20分
著者伴場一昭(NPO法人瀬戸内オリーブ基金事務局 全国巨樹・巨木林の会団体会員)