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青森県は巨木の王国

2017.3

森の神の写真

 青森県は巨木の宝庫です。青森の巨木は高渕英夫氏(東北巨木調査研究会会長)を抜きには語れません。氏は私の巨木の師匠ですが、2003年より南八甲田周辺を調査し、4,500本を超す巨木を発見しています。その中にはブナ、ハルニレ、ドロヤナギ、シナノキなどの国内最大級のものが含まれています。写真のブナ「森の神」は昔から地元の木こりたちの間で、「幹が三本に分かれた樹には神が宿っているので伐ってはならない」と伝えられ、伐採を免れてきました。日本樹木医会より「健康優良樹」の指定も受け、名実共に日本を代表するブナの一本となっています。ドロヤナギは、国内最大級の巨木が十和田市内に9本もあります。

法量のイチョウの写真

 また、里の巨木の代表的なものはイチョウです。十和田市、青森市、おいらせ町、階上町、七戸町、深浦町のそれぞれに国内最大級のものがあります。深浦町北金ヶ沢の大イチョウは世界最大ともいわれています。もう1枚の写真は幹周り1450cmの「法量のイチョウ(十和田市)」です。イチョウは中国よりもたらされたとの説もありますが、なぜ青森県に数多くの巨木があるのかとても不思議です。最近、十和田市内で巨木群落の存在が明らかになりました。調査した結果、二十町歩(東京ドーム約4個分)の敷地に15本のコナラの巨木が存在し、そのすべてが青森県最大級であることがわかったのです。ここはかつて近隣の集落の茅場で、後に陸軍軍馬補充部の牧草地として利用されました。敷地内には「陸軍用地」と刻まれた石柱が当時のまま残されています。まさに十和田市の原風景とも言える貴重な場所です。このように、山と里の両方にすばらしい巨木が数多く存在するのが青森県の特徴と言えます。高渕氏は巨木の魅力について、「山の巨木は自然の豊かさを、里の巨木は人々の心の豊かさを表している」と語っています。自然と人の心の豊かさを象徴する青森の巨木の数々をぜひ一度ご覧になってみませんか。

森の神の地図

法量のイチョウの地図

幹周り森の神:601cm
法量のイチョウ:1450cm
樹高森の神:29m
法量のイチョウ:32m
樹齢森の神:約300年
法量のイチョウ:約1,100年
保護指定法量のイチョウ:国指定天然記念物
所在地森の神:青森県十和田市奥瀬 幌内山
法量のイチョウ:青森県十和田市法量銀杏木
著者小沢純二(青森県在住 全国巨樹・巨木林の会会員)