平久保(びりくぼ)のシイ【東京都】
2024.6.28
私が一番はじめに思い浮かべる巨樹は多摩ニュータウンの公園内にある「平久保のシイ」です。当時、都内から巨樹を見に行けるスポットをネットで探していました。実際に見に行ったのは今からちょうど10年前の2013年、多摩センター駅からバスを使い、迷いながらもようやく辿り着いた平久保公園。辺りは薄暗くこんな住宅地に巨樹なんてあるのか?と不安になるも公園に一歩足を踏み入れた瞬間、目の前に現れた立派なスダジイ。よく見ると2 本が一体となっており、公園を包み込むほどの樹高と枝ぶり、今にも動き出しそうな躍動感のある根元に釘付けになりました。

日が沈みかけた薄暗い空間とスダジイが纏う神聖な空気感が相まって、美しさと悍ましさが同時にやってきて私なんかが気軽に見に来てはいけない、そんな神々しさも感じました。この感覚は何故かとても忘れられず10年経った今でもしっかり覚えています。
何百年、何千年と生き抜いてきた巨樹が放つ生命力に心が震えます。圧倒されるなんて言葉じゃ言い表せないくらいの存在感、自分の悩みなんてちっぽけに感じてしまいます。巨樹を前にすると、全てを見透かされている感覚にもなり、心身がリセットされます。

約10年前は樹木をメインモチーフに絵を描いており、一眼レフカメラを持ちながら好きな樹木を撮影し、それを元にスケッチしたり作品を制作していました。様々な配色で重なる樹皮や生命力を感じる根といった部分が私にとって一番描いていて楽しく、魅力的です。今は植物がメインモチーフですが、たまに公園に行った際は好きな樹木をスケッチしています。

幹周り | 590cm (大きい株) |
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樹高 | 25m (大きい株) |
樹齢 | 推定500年から600年 |
保護指定 | 東京都指定天然記念物 |
所在地 | 東京都多摩市落合4丁目7番地の2 平久保公園 |
交通 | 中央自動車道国立府中ICから約30分、京王帝都電鉄・小田急電鉄・多摩都市モノレール多摩センター駅からバス約10分、落合中学校前下車、徒歩約5分 |
著者 | Saori Ohwada(ボタニカルペインター) |