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戸隠中社(とがくしちゅうしゃ)の三本杉【長野県】

2022.12.26

 創建二千余年の戸隠神社・中社の巨杉(合体木)を写真1に示す。見事な三頭木の天然記念物である。大鳥居周辺にある3本の大杉は「三本杉」と呼ばれ、長野市指定天然記念物となっている。
 案内版ではこの写真の杉は幹周7.3m(長野市文化財DB*(以降:*)では7.9m)、樹高37m。この杉を正三角形の頂点にして72m間隔で、鳥居に向かって右に幹周9.4m(9.65m*)、樹高42m、左に幹周16m(9.9m*)、樹高38mの杉巨木があり、3本とも樹齢800年(約500年*)とある。また中社奥のご神木の杉は幹周7mで樹齢700年とされる。

写真1 戸隠中社の三本杉

写真1 戸隠中社の三本杉



 戸隠神社は霊山・戸隠山(1904m)の麓にあり、北から奥社(地図の左上方)、九頭龍社、中社(中央)、火之御子社、宝光社(左下)がある。奥社の随神門から北西に500m続く200本以上の樹齢400年の巨杉並木は圧巻であり、宝光社石段上の杉巨木(写真2)も見事である。

写真2 戸隠神社宝光社の巨杉と拝殿

写真2 戸隠神社宝光社の巨杉と拝殿



 戸隠山は日本百名山や日本百高山でもないが、鋸刃状の稜線が連なる険しい修験道の道場である。2016年10月28日。その修験道に挑戦した。当日は、霧が出ている上に急坂で無理かと思ったが同年配の登山者に遭遇し登攀可能かと思いなおした。雨上がりで強風下の岩登りは危険で、百軒長屋から縦横の鎖の連続。何度も戻ろうと思ったが、かえって危険で引き返せなくなった。胸突き岩で右腕の筋を痛め、低温で引攣ったが、休むと少し治まった。蟻の塔渡や25mのナイフリッジ・剣の刃渡は鎖なしの濡れた岩場で恐怖だった。辛うじて八方睨(1900m)に登りきり安堵したら百名山高妻山(2353m)が見えた。戸隠山・九頭竜山を越え下山した。
 著者は『75歳・心臓身障者の日本百名山・百高山単独行』(2019、海風社)を発行しており、登山中には未知の巨樹を時々見つけたが測定はできなかった。中高年の皆さん、是非とも測定し環境省の巨樹・巨木林データベースに登録して欲しい。ここに喜びと遣り甲斐がありそうだ。好奇心をもって自然の中に出かけ巨樹に会いに行こう!

戸隠中社の三本杉

幹周り 790cm(写真1)・965cm・990cm *数値は長野市文化財DBより(以下同)
樹高 37m(写真1)・42m・38m
樹齢 推定500年
保護指定 長野市指定天然記念物
所在地 長野県長野市戸隠中社3506
交通 JR「長野駅」下車、アルピコ交通バス「長野駅前総合案内所前」から
「ループ橋経由戸隠高原行き」約1時間乗車、戸隠中社下車
著者 真木太一(九州大学名誉教授 全国巨樹・巨木林の会会員)