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三京(みきょう)のオキナワウラジロガシ【鹿児島県】

2021.1.29

 鹿児島と沖縄の間、有人8島からなる奄美群島のほぼ真ん中に位置する徳之島。サンゴ礁とコバルトブルーの海に囲まれた周囲約80kmの島は、照葉樹の森に多様な動植物が息づく生き物の宝庫。世界自然遺産登録を目指す奄美・沖縄の候補地のひとつとなっています。人の暮らしのすぐそばに、豊かな自然が残ることでも知られます。

三京のオキナワウラジロガシ

三京のオキナワウラジロガシ



 島の中南部、天城町の丹発山(たんぱつやま)(446m)の森の奥に、オキナワウラジロガシの巨木がひっそりとたたずんでいます。どっしりと大地を踏みしめる大きな板根が特徴。高さ約2mと大人の背丈をゆうに超えています。幹に着いたシマオオタニワタリが羽飾りのように巨体を彩り、木漏れ日をまとった姿は神々しく、見る人を圧倒します。
 ウラジロガシへは山道を歩いて15分ほど。周りには細く、若い木が目立ちます。かつて丹発山では、パルプ材用に木が切り出され、森は丸裸になりました。生き延びた老樹は、半世紀の間、再び緑豊かな森へ還る時の流れを見つめてきました。

照葉樹の森を巡る三京の沢

照葉樹の森を巡る三京の沢



 丹発山の麓には、人口70人の三京集落があります。当時の伐採作業には、集落の人たちも駆り出されました。子どもたちも週末になると山に手伝いに来たそうです。
 島の人たちは、森の中の大きな木や石を大切にしました。ウラジロガシも「山の主」として、残されたのではないかと言われています。一帯の森は清流に恵まれ、国の特別天然記念物アマミノクロウサギをはじめ、希少な動植物が暮らしています。
 集落の人々は、先人が残した宝物として、森の長老と豊かな自然を見守り続けています。

三京(みきょう)のオキナワウラジロガシの地図

幹周り 330cm
樹高 16m
樹齢 推定150年
保護指定 奄美群島森林生態系保護地域保存地区、奄美群島国立公園特別保護地区
所在地 鹿児島県天城町三京
交通 登山道や案内板等はないため、ガイドの案内が必要。
問い合わせは徳之島エコツアーガイド連絡協議会事務局(天城町企画課)へ。
電話:0997-85-3111
著者 山崎みどり(南海日日新聞 報道部記者)