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行者杉「大王杉」と「霊験杉」

2019.12.24

 森の中で巨樹を眺めていると、なんだかとても癒されます。今まで60年近く興味がなかった僕が巨樹に興味をもったきっかけは、心のゆとりでした。忙しくしていた頃は気にも留めなかった僕ですが、心にゆとりができた時、巨樹たちの存在に気づき訪問を始めました。財産をすべて失ったことなどは、何の苦労にも思えないほどの心のゆとりです。そして、本当にやりたいことをやろう、と考えたときに、湧き出てきたもののひとつが巨樹めぐりだったのです。
 今回ご紹介する行者杉は、福岡県南東部、大分県の日田市と隣接する風光明媚な山あいの東峰(とうほう)村にあります。ここには江戸時代まで英彦山(ひこさん)に峰入りする修験者たちが植栽した行者杉と呼ばれる杉が立ち並ぶ森が広がっています。

行者杉の父と言われる「大王杉」の写真

行者杉の父と言われる「大王杉」



 このなかに「大王杉」と名付けられ「行者杉の父」とも呼ばれる、周囲の木から一本突き抜けているひときわ大きな杉があります。案内によると樹齢は推定600年、樹高52mで、そのどっしりした根元から地上5mほどは綺麗な色の苔がむしており、その存在感は子どもたちを見守る威厳のある父にも似て、「行者杉の父」と言われるのもうなずけます。

行者杉の母と言われる「霊験杉」の写真

行者杉の母と言われる「霊験杉」



 その父に対し、行者杉の森に入る入口付近には「行者杉の母」と言われる「霊験杉」がそびえ立っています。この木の特徴はその幹のふくよかさで、女性的な優しさに溢れています。やはりこの木も周囲からは飛び抜けて高いのですが、枝振りは手を広げたように優しく包み込む感じで、母というのにふさわしい巨樹でしょう。
 僕が訪問したのは夏の日差しが強い日でしたが、行者杉の森に入ると木漏れ日が心地よく、心が落ち着く異空間となっていました。綺麗な歩道も整備され、高低差も少なく子どもも年配の方も気軽に巨樹の森を楽しめます。

行者杉「大王杉」と「霊験杉」の地図

幹周り 大王杉:770cm
霊験杉:840cm
樹高 大王杉:52m
霊験杉:50m
樹齢 大王杉:500年(推定)
霊験杉:500年(推定)
所在地 福岡県朝倉郡東峰村小石原
交通 西鉄バス「小石原」より徒歩15分。大分自動車道 杷木ICより車で30分
著者 山本俊朗(福岡県在住 神社、巨樹、お城を旅しています)