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今泉城跡(いまいずみじょうせき)の大ケヤキ

2019.3.15

今泉城跡の大ケヤキ全景(西側から)



 開業5年目の北陸新幹線は上越妙高駅の近くに、周辺旧集落の氏神様を合祀した大和神社があります。この神社一帯は、1300年代(南北朝時代)には南朝方の地頭職、村山氏が構える今泉城がありました。

 現在、この城跡の土塁遺構上に幹周り660cm、樹高27mの大ケヤキがそびえ立っています。樹齢は、最新の科学的調査により350年以上であることが分かりました。

 350年以上前といえば江戸時代初頭の頃であり、またこの場所はその頃、今泉城から大和神社の前身の今泉稲荷社に替わっていたことから、次のようなことが言えるでしょう。すなわち、戦乱の世から平和の世に移った時代背景のなかで、当時の村人たちが、村の氏神様を祀った社の傍ら(土塁遺構上)に恒久平和や家内安全、五穀豊穣を祈って1本のケヤキの苗を植えたのでしょう。民衆の側からの平和の象徴としてのケヤキの誕生です。

今泉城跡の大ケヤキ部分(東側から)の写真

今泉城跡の大ケヤキ部分(東側から)



 さらに特筆すべきことは、この大ケヤキは、少なくとも100年以上前に雷に被災していて、そのために幹の芯部から東側全体が空洞化しているにもかかわらず、たくましく成長し続けていることです。単に巨樹・古木というだけでなく、命に関わるほどの災禍にも打ち克って生き抜いてきた姿は、人々の魂を揺さぶり限りない勇気を与えてくれることでしょう。

 新幹線に乗ればあっという間。この特別なパワースポットをあなたも訪れてみませんか。私たち地元では、樹木保護や周辺美化の取組を続けながら、おもてなしの心を大ケヤキのパワーに乗せてお待ちしています。

今泉城跡の大ケヤキの地図

幹周り 660cm
樹高 27m
樹齢 350年以上(最新の科学的調査である音響波調査と放射性炭素年代測定による)
所在地 新潟県上越市大和2-10-24 大和神社内(今泉城跡の土塁遺構上)
交通 JR北陸新幹線「上越妙高駅」東口から徒歩5分
著者 石平春彦(上越妙高駅と共に歩む会会長)