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大徳寺の大クス

2017.9

大徳寺の大クスの写真1

 長崎には♪寺もないのに大徳寺♪で始まる「長崎七不思議」という、なんとも魅力的なタイトルの歌があります。その寺のない大徳寺にあるのが、長崎で一番の巨樹「大徳寺の大クス」です。大きさは説明看板によると根まわり23.35m、目通り幹まわり12.55m。樹齢は800年くらいと言われています。全国ランキング的には50位にも入っていませんが、街なかにあり周囲を家に囲まれているため迫力満点で、大変見ごたえがあります。長崎県の天然記念物にも指定されています。幹は3方向に分かれ上よりも横方向へと伸びており、隣接する民家を押し潰すかのよう…というか少々押し潰していました。現在は(おそらく健康上の理由により)途中で切られています。また、その根は200m離れた電停(路面電車の停留所)の方まで伸びているという噂です。

大徳寺の大クスの写真2

 近くに電停があることからもわかるように、場所が街なかでアクセスしやすいのも特徴です。すぐ隣は、先ほどの長崎七不思議の中で「平地なのに丸山」とのくだりで登場する丸山。かつて江戸の吉原・京都の島原と並び日本3大花街と言われたところです。また出島の中国人版ともいうべき唐人屋敷もすぐ隣です。飲み屋街からも近いので、飲んでる時に突然巨樹が見たくなった時でも「ちょっと見てくる!」と言って見に行くことができます。大徳寺(という寺はありませんが)の境内、大クスの木かげには「老舗菊水」という明治時代からある昔ながらの梅ケ枝焼餅屋さんがあります。ここの焼餅は、4個入りですが4つも食べたらお腹いっぱいになってしまうほど大きいのが特徴です。先日10年ぶりぐらいに訪れたところ、10年前とまったく変わらない様子で同じおばちゃんが焼いていて、ちょっとした感動すら覚えました。大クスについて聞くとなんでも教えてくれます。移り変わりの激しい昨今、変わらずずっとそこにあるものを見ると、なんだかホッとしますね。

大徳寺の大クスの地図

幹周り1345cm
樹高14m
樹齢推定800年前後
保護指定長崎県指定天然記念物
所在地長崎県長崎市西小島1-1
交通路面電車・バス「思案橋」下車徒歩8分
著者T・斎藤(システムエンジニア/ライター)