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奈良御所「風の森の大杉(大川杉)」

2017.8

奈良御所「風の森の大杉(大川杉)」の写真

 印象に残るその巨木は、奈良盆地の南端。近鉄電車「御所(ごせ)」駅前からバスで15分、「風の森」停留所より金剛山山頂を目指して徒歩30分ほどの中腹にあります。西佐味(にしさび)の集落を抜けるころ、竹藪に囲まれた中にずっしりと仁王のごとく枝を伸ばした姿の大杉(大川杉)が見えてきます。近づくと石地蔵が数体祀られており、古来より周辺の皆さんに大切に信仰されていることがわかります。残念ながら竹が密集しているため、根回りには近づけません。でも、がっかりしないでください。左斜面にある畑の畦道を登り竹藪にたどり着くと、そこにポッカリと横道があります。その藪トンネルをゆっくり5mほど進んでください。

大川杉の主幹

 すると皆さんが思わず「あ、凄い!」と叫ぶほどの大杉が現れるでしょう。大杉には迷惑でしょうが、畦道が大杉近くにつくられたことにより、700年を経て生きる大杉の主幹(幹周り600cm以上)を間近に観察できます。御神木のしめ縄や生き生きとした樹皮の色つやにも、このスギの生命力の強さを感じることでしょう。ゆっくりと上部へ目を向けると、これまでの幾多の試練を想像できる大枝の茂りにも感嘆するのではないでしょうか。20年前に奈良を直撃した台風時にも大きな欠損もなく無事でした。トンネルを戻り、畦道をさらに登って2段上の畑の端から大杉を見てください。私がお薦めする樹形がそこから見て取れます。写真にある全体樹形、いかがですか。大杉は、遥か遠くに古都奈良を望むこの場所に歴史を刻んでいるのです。どうぞお越しください。私が所属する「グリーンあすなら巨樹巨木の会」では、ご案内もさせていただいています。

奈良御所「風の森の大杉(大川杉)」の地図

幹周り610cm
樹高28m
樹齢約600年
保護指定県指定天然記念物
所在地奈良県御所市西佐味
交通近鉄御所駅からバス「風の森」下車徒歩30分
著者甲斐野幸一 (奈良県在住 全国巨樹・巨木林の会会員 グリーンあすなら巨樹巨木の会代表)